当研究分野ではHIVなどのレトロウイルスを中心とする各種ウイルス感染症に対する基礎研究から治療法の開発に向けた創薬研究を進めています。またHBV(B型肝炎ウイルス)感染症などその他の難治性疾患に対する研究に加えて、SARS-CoV-2による新型肺炎(COVID-19)などのパンデミックウイルスに対する病態解明と治療法の探索に向けた研究も行っています。
研究室概要
部局 | ヒトレトロウイルス学 共同研究センター |
Joint Research Center for Human Retrovirus Infection |
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専攻 | 健康科学専攻 | Health Research Course |
大講座 | 感染防御学 | Infection and Immunity |
分野 | 抗ウイルス療法研究分野 | Division of Antiviral Therapy |
分野サイト | https://ccvd.kufm.kagoshima-u.ac.jp/antiviral/ |
連絡先
主要研究テーマ
HIVやHBV、CMV (サイトメガロウイルス)に対する治療薬の開発 | Development of therapeutic agents for HIV, HBV and CMV (cytomegalovirus) |
HIV感染症の治癒 (Cure)を目指した新しい治療法の開発 | Development of novel therapies to cure HIV infection |
新型肺炎ウイルス (SARS-CoV-2)感染症における免疫応答解析を基盤とした予防と治療法の確立 | Study on the immune response against SARS-CoV-2 |
スタッフ
教授
氏名 | 前田賢次 Kenji MAEDA |
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専門分野 | ウイルス学、ウイルス治療学 |
研究テーマ | ・HIV・HBV・SARS-CoV-2など、各種の難治性・新興ウイルス感染症に対する治療薬開発に向けた基礎・臨床研究 ・HIVの治癒を目指すためのHIVリザーバーに対する基礎研究と新しい治療法確立に向けた創薬研究 |
准教授
氏名 | 松田幸樹 Kouki Matsuda |
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専門分野 | ウイルス学 |
研究テーマ |
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助教
氏名 | 赤堀祐一 Yuichi AKAHORI |
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専門分野 | ウイルス学 |
研究テーマ | ・HBV・SARS-CoV-2・HIVなど、各種の難治性・新興ウイルス感染症に対する治療薬開発に向けた基礎研究 |
主な研究実績
前田賢次
ウイルス感染症に対する治療薬の開発研究としてHIVの細胞への侵入を阻害する侵入阻害剤(CCR5阻害剤)を開発、海外で臨床試験段階まで進んだ。その後、HBVなど各種のウイルスに対する創薬研究を継続するとと主にHIVの治癒を可能とする治療確立に向けた新しいHIVリザーバー解析手法の確立、さらに2020年以降はSARS-CoV-2に対する基礎・臨床研究でも多数の論文発表をおこなっている。
松田幸樹
これまで一貫してHIV・エイズ研究に携わり、特にHIV感染症治癒に向けた創薬研究を進めてきた。近年はHIV感染者の臨床検体を用いて、患者体内に残存した潜伏感染(リザーバー)細胞の詳細な解析を進めている。また、昨今の新型コロナウイルス感染症蔓延に伴い、臨床分野と連携しSARS-CoV-2の基礎・臨床研究についても共同でおこなっている。
赤堀祐一
HBV研究において、不死化ヒト肝細胞を用いた新規HBV感染培養系の開発や、バルドキソロンメチルなどの抗HBV活性を持つ化合物の同定をおこなってきた。
主な特許等
名称 / 出願番号 | 発明者等 / 出願日 |
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HIV感染症治療剤 特許番号:2021-034428 |
三隅 将吾、塚本 佐知子、岸本 直樹、人羅 勇気 前田 賢次 令和3年3月4日 |
COVID-19の重症化リスクに関する情報の取得方法 SARS-CoV-2のS抗原に対するIgM抗体のモニタリング 方法、COVID-19の重症化リスクの判定を補助する方法 試薬キット、COVID-19の重症化リスクに関する情報の 取得装置及びCOVID-19重症化リスクに関する情報を 取得するためのコンピュータプログラム |
濱田哲暢、満屋裕明、前田賢次、野田健太 他 令和3年2月22日 |
共同開発・研究
1)HIV治癒に向けた新しい治療薬(潜伏感染再活性化剤:latency-reversing agents)の開発:東京医科歯科大学(玉村教授・武内准教授)、熊本大学(三隅教授)
2)HIV潜伏感染に関わるHIVプロウイルスの特性解析:熊本大学(佐藤教授)
3)臨床検体を用いたHIVリザーバー解析研究:国立国際医療研究センター・エイズ治療研究開発センター(岡センター長・潟永科長・土屋専門官)
4)COVID-19感染症における免疫応答解析:東京都健康安全研究センター(吉村所長・貞升部長)、国立国際医療研究センター・国際感染症研究センター(大曲センター長)・臨床研究センター(杉浦センター長)
5)サイトメガロウウイルス(CMV感染症)治療開発に向けた創薬研究:国立感染症研究所ウイルス第一部(山田主任研究官)
主な研究費取得状況
前田賢次
事業・種目 / 期間 | 研究 |
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AMED 肝炎等克服実用化研究事業 (分担)2017-2020 |
B型肝炎ウイルス感染症に対する新規の治療薬の研究・開発(代表 満屋裕明) |
AMED エイズ対策実用化研究事業 (代表)2018-2020 |
HIV Cureを目指した新規作用機序を有する抗HIV薬開発研究 |
厚生労働省 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業 (分担)2020 |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療法を確立するための研究(代表 忽那 賢志) |
AMED 新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業 (代表)2021 |
COVID-19治療としての回復者血漿療法の基盤整備 |
松田幸樹
事業・種目 / 期間 | 研究 |
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日本学術振興会科学研究費助成事業・若手研究 (代表)2023年-2025年 | 生体に残存するHIVリザーバー細胞の形成ならびに潜伏感染機序の解明 |
公益財団法人武田科学振興財団・医学系研究助成 (代表)2023年-2028年 | HIV感染症の機能的治癒を目指した新規治療法の確立 |
公益財団法人持田記念医学薬学振興財団・持田記念研究助成 (代表)2023年-2024年 | HIV-1感染症の機能的治癒を目指した新規治療法の開発 |
日本学術振興会科学研究費助成事業・若手研究 (代表)2020年-2022年 | HIV感染者体内の残存ウイルスリザーバー評価系構築と臨床学的バイオマーカーの探索 |
国立高度専門医療研究センター医療研究連携推進本部横断的研究推進費・令和3年度若手研究助成(分担)2021年-2022年 | 質量分析法を利用した抗ウイルス薬の薬物動態解析の手法開発(代表 劉晶楽) |
公益財団法人日本科学協会・笹川研究助成 (代表)2016年-2017年 | 膜流動性の変化によるHIV-1侵入メカニズムの解明及び宿主細胞膜流動性を標的とした新規抗ウイルス薬の探索 |
日本学術振興会科学研究費助成事業・特別研究員奨励費 (代表)2015年-2016年 | 細胞膜流動性亢進によるエンドサイトーシスを介したウイルス感染促進メカニズムの解明 |