研究テーマ(研究室紹介)

生体情報薬理学スタッフ写真

大脳皮質はマクロスケールからミクロスケールまで複雑かつ精巧にデザインされている。大脳皮質は多くの領野をもち、階層的かつ並列的に情報を処理することで高次脳機能を実現している。その一方で、大脳皮質の情報処理演算単位であるニューロン(神経細胞)は,細胞体、樹状突起、神経軸索などの細胞内コンパートメントから構成され、微細な形態かつ複雑な細胞生理学的特性をもつ。本研究室では、二光子顕微鏡と電気生理学を組み合わせることで、感覚情報処理、運動機能回復や報酬/嫌悪情報処理といったマクロ計算を細胞内ミクロ演算として理解することを目指している。教育としては、医学部3年生に薬理学総論、4年生に臨床薬理学の講義を、修士・博士課程では分子情報薬理学を担当している。

研究室概要

部局 大学院医歯学総合研究科 Graduate School of Medical and Dental Sciences
専攻 先進治療科学専攻 Advanced Therapeutics Course
大講座 生体機能制御学 Functional Biology and Pharmacology
分野 生体情報薬理学 Pharmacology
分野サイト https://www3.kufm.kagoshima-u.ac.jp/pharmaco/

分野サイト

連絡先

TEL.099-275-5256 / FAX.099-265-8567

主要研究テーマ

大脳皮質視覚野の非線形計算のメカニズムの解明 Probing the mechanims of non-linear computations in the mouse primary visual cortex.
大脳皮質運動野の機能障害回復のメカニズムの解明 Probing the mechanims of functional recovery in the mouse motor cortex.
大脳皮質前頭前野の報酬嫌悪情報処理のメカニズムの解明 Probing the mechanims of reward/aversion processing in the mouse prefrontal cortex.
難治性疼痛発症の分子メカニズム解明と新規鎮痛薬創薬 Neurobiological understanding of chronic pain and development of new analgesics.
高次脳機能の発現に関わる脳のエネルギー代謝制御 Energetic regulation for higher brain function.

スタッフ

宮田篤郎 Atsuro MIYATA

教授
氏名 佐藤達雄 Tatsuo SATO
専門分野 神経科学
研究テーマ 大脳皮質視覚野の非線形計算のメカニズムの解明
大脳皮質運動野の機能障害回復のメカニズムの解明
大脳皮質前頭前野の報酬嫌悪情報処理のメカニズムの解明

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研究者総覧 


栗原崇 Takashi KURIHARA

准教授
氏名 栗原崇 Takashi KURIHARA
専門分野 疼痛学、神経薬理学
研究テーマ 難治性疼痛発症の分子メカニズムの解明と新規鎮痛薬創薬に関する研究

日本の研究

研究者総覧 


神戸悠輝 Yuki KAMBE

講師
氏名 神戸悠輝 Yuki KAMBE
専門分野 神経科学、内分泌代謝学
研究テーマ 高次脳機能の発現に関わる脳のエネルギー代謝制御

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主な研究実績

佐藤達雄
  • Long-range connections enrich cortical computations. Sato TK* Neurosci Res. 2021 Jan;162:1-12. doi: 10.1016/j.neures.2020.05.004. Epub 2020 May 26.
  • Interhemispherically dynamic representation of an eye movement-related activity in mouse frontal cortex. Sato TR, Itokazu T, Osaki H, Ohtake M, Yamamoto T, Sohya K, Maki T, Sato TK* Elife. 2019 Nov 5;8:e50855. doi: 10.7554/eLife.50855.
  • Streamlined sensory motor communication through cortical reciprocal connectivity in a visually guided eye movement task. Itokazu T, Hasegawa M, Kimura R, Osaki H, Albrecht UR, Sohya K, Chakrabarti S, Itoh H, Ito T, Sato TK*, Sato TR. Nat Commun. 2018 Jan 23;9(1):338. doi: 10.1038/s41467-017-02501-4.
  • An excitatory basis for divisive normalization in visual cortex. Sato TK, Haider B, Häusser M, Carandini M. Nat Neurosci. 2016 Apr;19(4):568-70. doi: 10.1038/nn.4249. Epub 2016 Feb 15.PMID: 26878671
  • Distal connectivity causes summation and division across mouse visual cortex. Sato TK*, Hausser M, Carandini M. Nat Neurosci. 2014 Jan;17(1):30-2. doi: 10.1038/nn.3585. Epub 2013 Nov 17.
  • Traveling waves in visual cortex. Sato TK, Nauhaus I, Carandini M. Neuron. 2012 Jul 26;75(2):218-29. doi: 10.1016/j.neuron.2012.06.029.
栗原崇
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神戸悠輝
  • Pituitary Adenylate Cyclase-Activating Polypeptide in the Ventromedial Hypothalamus Is Responsible for Food Intake Behavior by Modulating the Expression of Agouti-Related Peptide in Mice. Nguyen T. T., Kambe Y., Kurihara T., Nakamachi T., Shintani N., Hashimoto H., Miyata A. Mol Neurobiol, 57(4): p. 2101-2114. 2020.
  • The dorsal hippocampal protein targeting to glycogen maintains ionotropic glutamate receptor subunits expression and contributes to working and short-term memories in mice. Kambe Y., Nguyen-Thi T., Hashiguchi K., Sameshima Y., Yamashita A., Kurihara T., Miyata A. J Pharmacol Sci. 2021.
  • The pivotal role of pituitary adenylate cyclase-activating polypeptide for lactate production and secretion in astrocytes during fear memory. Kambe Y., Yamauchi Y., Thanh Nguyen T., Thi Nguyen T., Ago Y., Shintani N., Hashimoto H., Yoshitake S., Yoshitake T., Kehr J., Kawamura N., Katsuura G., Kurihara T., Miyata A. Pharmacol Rep, 73(4): p. 1109-1121. 2021.
  • Recent behavioral findings of pathophysiological involvement of lactate in the central nervous system.Kambe Y. Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - General Subjects, 1866(7). 2022.

主な研究費取得状況

佐藤達雄
事業・種目 / 期間研究
さきがけ 代表
平成30年度~令和3年度
新規遺伝子導入法による神経細胞樹状突起の光操作と測光
豪州国立保健医療研究委員会(NHMRC)・Ideas Grants
2020.1.~2023.3.
Probing the role of dendrites in cortical gain control
帰国発展研究 代表
令和4年度~令和6年度
生体脳情報処理における単一神経細胞の樹状突起・スパイン信号処理の機構と役割の解明
栗原 崇
事業・種目 / 期間研究
基盤研究(C)代表
平成25~平成27年度
カゼインキナーゼ1シグナル伝達系をターゲットにした難治性疼痛治療戦略
挑戦的萌芽 代表
平成28~平成29年度
免疫介在性有痛性神経障害発症に関与する病的抗原を同定する
平成28年度橋渡し研究加速ネットワークプログラムシーズA 代表
平成28年度
難治性疼痛治療を目指した新規PACAP特異的受容体拮抗薬の開発
平成29年度橋渡し研究・新規開発シーズA 代表
平成29年度
新規難治性疼痛治療薬PACAP特異的受容体拮抗薬の実用化研究
旭化成ファーマOpen Innovation公募研究 代表
令和元年度
新規鎮痛薬創薬を目指したPACAP誘発アストロサイトーニューロン間シグナル解析
基盤研究(C) 代表
平成31~令和3年度
痒み情報伝達にPACAP-PAC1受容体シグナルは関与するのか?
神戸悠輝
事業・種目 / 期間研究
代表 公益財団法人サンケイ科学振興財団
平成27年度
山田養蜂場みつばち研究助成基金
平成28〜29年
科学研究費補助金
基盤研究(C) 代表
令和2〜4年度
腹内側核PACAP発現細胞の双方向性摂食調節メカニズムの解明と新規抗肥満薬の開発
日本応用酵素協会
成人病の病因・病態の解明に関する研究助成 代表
令和2〜4年度

主な特許等

名称発明者等、出願番号 / 出願日
疼痛に関する化合物及び医薬組成物 萩原正敏、豊本雅靖、細谷孝充、吉田 優、栗原 崇
特願2013・261396 / (PCT/JP2014/083569)
NMDA受容体阻害剤 米田 幸雄, 中道 範隆, 神戸 悠輝, 松島 伸行, 森口 展明, 柴田 仁
特願2006-309534号
神経細胞死抑制剤 米田 幸雄, 宝田 剛志, 中道範隆, 神戸 悠輝, 松島 伸行, 柴田 仁
特願2005-140070号
疼痛に関する化合物及び医薬組成物 萩原正敏、豊本雅靖、細谷孝充、吉田 優、栗原 崇
基礎出願番号: 特願2013-261396 他
PAC1受容体拮抗薬を用いた鎮痛薬 栗原 崇、高﨑一朗、豊岡尚樹、合田浩明
基礎出願番号: 特願2017-186447 他
PAC1受容体拮抗薬を用いた鎮痒薬 発明者: 栗原 崇、高崎一朗、豊岡尚樹、合田浩明
基礎出願番号: 特願2019-34313 他

共同開発・研究

  1. 末梢神経障害性疼痛に対する新規薬物治療法の開発
    一次知覚神経-脊髄レベルにおけるカゼインキナーゼ 1(CK1)シグナル伝達やPACAP-PAC1受容体シグナル伝達の阻害、あるいは遊離中/長鎖脂肪酸受容体FFAR1/GPR40の活性化が末梢神経障害性疼痛に対する有効な治療法になり得ることを近年見出した。これらの研究テーマに関し、京都大学およびドイツUlm大学(CK1)、富山大学(PACAP-PAC1受容体)、本学脳神経外科、昭和大学および神戸学院大学(FFAR1/GPR40)の研究グループとの共同研究が進行している。
  2. 中枢性神経障害性疼痛モデルの確立と病態解析
    難治性(NSAIDsおよびオピオイド鎮痛薬抵抗性)の高い疼痛の1つとして脳卒中後疼痛(Central post-stroke pain: CPSP)が知られるが、これまで適切な動物モデルがなく、疼痛発症メカニズムに関しても不明点が多かった。我々は本学脳神経外科との共同研究を通じて、疼痛行動学的・薬理学的に妥当なCPSPモデルマウスの確立に成功した。現在、本モデルマウスの詳しい行動解析とともに、グリア細胞活性化と疼痛発症の関連性に着目した研究を展開している。
  3. 有痛性神経障害患者の疼痛発症機序の検討
    免疫介在性が疑われる有痛性神経障害患者の血清あるいは精製IgGをマウスのくも膜下腔へ受動移入すると、患者に特徴的な疼痛を高い確率でマウスに再現可能であることが分かってきた。痛みが主な症状であるため、これまでこのような患者の存在は無視されてきたが、我々の研究グループ(シンガポール国立大学およびフランスAix-Marseille大学の研究グループとの共同研究)は、このような有痛性疼痛患者の状態を表す疾患名として、疼痛が主徴であることを医療関係者に意識させるPainful Auto-immune Neuropathy (PAiN) を新たに提唱し、病的抗原の特定、および疼痛発症機序を解明する研究を進めている。

分野サイト

鹿児島大学
医学部
鹿児島大学歯学部
鹿児島大学病院
新ニーズに対応する九州がんプロ養成プラン
附属施設等