鹿児島大学皮膚科は研究・教育・診療を有機的に関連付けながら日々活動しています。診療の場では疾患に対して医学的・科学的にアプローチし、教育においては学生、研修医に科学的・論理的に思考する姿勢を伝えます。そのためには医学研究の経験が欠かせません。日々の研究を大切に、若い先生へは研究を奨励しています。多くの皆様にこのホームページで私共の研究の現状をお知りいだければ幸いです。
研究室概要
部局 | 大学院医歯学総合研究科 | Graduate School of Medical and Dental Sciences |
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専攻 | 先進治療科学専攻 | Advanced Therapeutics Course |
大講座 | 感覚器病学 | Sensory Organology |
分野 | 皮膚科学 | Dermatology |
分野サイト | http://www.kufm.kagoshima-u.ac.jp/~derma/ |
連絡先
TEL.099-275-5388 / FAX.099-275-1134
主要研究テーマ
好中球性皮膚疾患に対する顆粒球・単球吸着除去療法を用いた治療法の確立 | Research on granulocyte and monocyte adsorption apheresis for neutrophilic dermatoses |
アトピー性皮膚炎の治療に関する研究 | Research on management of atopic dermatitis |
HDAC阻害剤の感受性に関わる分子の同定、併用療法のターゲットの探索 | Research on sensitivity factor of HDAC inhibitor for treatment of CTCL |
CD147/BasiginとT細胞に関する研究 | Research on CD147/Basigin and T cells |
表皮内γδT細胞を介する皮膚の免疫機構の解明 | Research on the immunesystem mediated by intraepidermal γδT cells |
好中球性皮膚疾患とマイクロRNAに関する研究 | Research on neutrophilic dermatoses and microRNA |
スタッフ
教授
氏名 | 金蔵拓郎 Takuro KANEKURA |
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専門分野 | 皮膚科学 |
研究テーマ | ・好中球性皮膚疾患に対する新規治療法の確立 ・皮膚の分子細胞生物学的研究 |
准教授
氏名 | 東 裕子 HIGASHI Yuko |
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専門分野 | 皮膚科学 |
研究テーマ | ・好中球性皮膚疾患に関する研究 |
助教
氏名 | 馬場直子 BABA Naoko |
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専門分野 | 皮膚科学 |
研究テーマ | ・加齢と皮膚に関する研究 |
主な研究実績
金蔵拓郎
- 好中球性皮膚疾患に対する顆粒球・単球吸着除去療法を用いた治療法の確立
当分野では世界に先駆けて難治性皮膚疾患の治療に顆粒球・単球吸着除去療法を導入し目覚ましい成果を上げ報告してきました。2012年には難病に指定されている膿疱性乾癬に対する保険適応が承認され、現在も適応症の拡大を目指して全国多施設共同試験を主導しています。奏効機序についても基礎医学的に解明を進めています。 - D147/Basiginと皮膚悪性腫瘍に関する研究
CD147/basiginは悪性黒色腫細胞においてモノカルボン酸トランスポーターの発現調節を介して解糖系代謝経路を制御し癌の増殖と浸潤を制御していること、focal adhesion kinaseのリン酸化を介して黒色腫細胞と基質の接着さらには局所浸潤を制御していること、および薬剤多剤耐性に関与していることを明らかにし、CD147/basiginを介した悪性黒色腫細胞の分子治療の可能性を示しました。 - CD147/Basiginと乾癬に関する研究
CD147/basiginは解糖系を介してTリンパ球の活性化を制御していることから、CD147/basigin によるTh細胞の分化制御機構と乾癬病態形成を解明する研究を進めてきました。乾癬においてCD147がMCT1/4との相互により、Th17細胞への分化を制御していることを明らかにしました。
東 裕子
- 乾癬とメタボリックシンドロームに関する研究
乾癬は、慢性の炎症性皮膚疾患で、メタボリックシンドロームが高頻度に認められることが知られています。高脂肪食が、インフラマソームを介して乾癬の皮膚炎を増強させることを明らかにしました。 - 好中球性皮膚疾患とマイクロRNAに関する研究
好中球性皮膚疾患に関連し病勢を反映するマイクロRNAを見出しました。マイクロRNAが好中球の機能と皮膚の炎症にどのように関わっているのか研究を進めています。難治性の好中球性皮膚疾患の病態解明、治療薬の開発を目指しています。
馬場 直子
- 黒酢と皮膚癌に関する研究
鹿児島県産の玄米黒酢は、通常の米酢よりもアミノ酸含有量が多く、抗酸化作用を有しています。この玄米黒酢が、ネクロトーシスを介して皮膚癌の増殖を抑制する効果があることを明らかにしました。
その他
- HDAC阻害剤の感受性に関わる分子の同定、併用療法のターゲットの探索
皮膚T細胞リンパ腫の新規分子標的薬としてhistone deacetylase (HDAC) 阻害剤が注目されています。当分野ではプロテオームの手法を用いてHDAC阻害剤の感受性を増強する分子を同定しました。HDAC阻害剤を利用した皮膚T細胞リンパ腫の新たな治療法の開発につながる成果です。 - 表皮内γδT細胞を介する皮膚の免疫機構の解明
皮膚に常在するγδT細胞が表皮ケラチノサイトと相互作用し、創傷治癒、腫瘍監視、免疫制御において重要な役割を担っていることを明らかにしました。 - アトピー性皮膚炎の治療に関する研究
アトピー性皮膚炎は皮膚の病気ですが、環境、栄養、心理的側面等多くの因子が絡んでいて治療に難渋する例が少なくありません。そのような症例を対象に病気と治療について理解を深めていたいただくことを目的として教育入院プログラムを提供しています。このプログラムで得られたデータを基に適切な治療管理方法の確立を目指します。
主な特許等
特許名 | 氏名、番号 / 出願日 |
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シクロオキシゲナーゼ.2選択的阻害剤 | 金蔵拓郎 2005-308686 2005年10月24日 |
加水分解フィブロインを含む軟膏及びその製造方法 | 金蔵拓郎 6369783 2018年7月20日 |
創傷被覆材および創傷被覆材の製造方法 | 金蔵拓郎 3215159 2018年2月7日 |
掻痒治療剤 | 金蔵拓郎 2019-157118 2019年8月29日 |
共同開発・研究
- 口腔生化学分野:肝細胞増殖因子が表皮ケラチノサイトに及ぼす効果に関する研究
- 中南大学第一湘雅医院(中国長沙市):CD147/Basigin と皮膚癌および乾癬に関する研究
- 中南大学第二湘雅医院:膠原病特に強皮症とSLEの発症に係るエピジェネティクスに関する研究
- 国立長寿医療センター口腔疾患研究所:歯周病と皮膚バリア機能に関する研究
- 東京農工大学:絹シート医療材料の創製と各種インプラントデバイスへの応用
産学連携
- カクイ株式会社:卵殻膜タンパク含有創傷面被覆剤の皮膚びらん・潰瘍に対する創傷治癒促進効果に関する研究
- 福山黒酢:黒酢の皮膚のアンチエイジングと抗腫瘍効果に関する研究
- アーダン株式会社:シルク主原料の創傷被覆材の研究開発
- 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構:遺伝子組換え技術を用いたカイコの開放系による養蚕技術の確立、及びその絹を用いた商品開発
- 株式会社JIMRO:顆粒球・単球吸着除去療法に関する基礎的、臨床的研究
主な研究費取得状況
金蔵拓郎
事業・種目 / 期間 | 研究 |
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日本学術振興会 基盤研究(C) 2018-04-01 – 2021-03-31 |
CD147/basigin のTh 細胞分化と乾癬病態形成に関する包括的研究 |
東 裕子
事業・種目 / 期間 | 研究 |
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日本学術振興会 基盤研究(C) 2016-04-01 – 2019-03-31 |
好中球機能からみた炎症性皮膚疾患の病態解明とその治療法の確立 |
藤井一恭
事業・種目 / 期間 | 研究 |
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日本学術振興会 基盤研究(C) 2019-04-01 – 2022-03-31 |
HDAC阻害剤によるチロシンキナーゼの活性化とCTCLの新規治療への応用 |
日本学術振興会 基盤研究(C) 2016-04-01 – 2019-03-31 |
核内受容体をターゲットとしたHDAC阻害剤の併用療法の開発 |
内田洋平
事業・種目 / 期間 | 研究 |
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日本学術振興会 基盤研究(C) 2020-04-01 – 2023-03-31 |
円形脱毛症におけるAGEs(終末糖化産物)の毛包ストレス-T細胞応答への寄与解明 |
日本学術振興会 若手研究 2018-04-01 – 2020-03-31 |
末梢血TCRVδ1+γδT細胞のCD107a発現に着目した円形脱毛症の病態解明 |
指宿敦子
事業・種目 / 期間 | 研究 |
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日本学術振興会 若手研究 2019-04-01 – 2021-03-31 |
痒疹の発症における皮膚γδT細胞の役割~2型・17型免疫応答の協働~ |
地村 望
事業・種目 / 期間 | 研究 |
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日本学術振興会 若手研究 2018-04-01 – 2019-03-31 |
Src経路の制御によるHDAC阻害剤併用療法の可能性 |
河井一浩
事業・種目 / 期間 | 研究 |
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日本学術振興会 基盤研究(C) 2018-04-01 – 2021-03-31 |
表皮内におけるIL-13産生T細胞の分化誘導シグナルの解明 |