国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED) 革新的がん医療実用化研究事業(革新がん事業)で、鹿児島大学・小戝研究室で開発した腫瘍溶解性ウイルスSurv.m-CRA-1の、本技術分野で世界初の悪性骨腫瘍に対する承認(実用化)を目指した第Ⅱ相医師主導治験(多施設共同)を開始しました。
2月18日に、小戝(こさい)健一郎 教授 (大学院医歯学総合研究科 遺伝子治療・再生医学分野 教授、探索的医療開発センター センター長)ら5人が記者発表を行い、今般の第Ⅱ相医師主導治験(多施設共同)について紹介しました。
記者発表の様子
【研究の概要】
腫瘍溶解性ウイルスは、がん細胞だけで増殖してがん細胞のみを殺傷する遺伝子組換えウイルスで、画期的ながん遺伝子治療薬として世界的にも開発が期待されています。しかし、開発には高度専門性が要求されるため、まだ欧米で一品目、本邦で一品目(条件付き)の承認例しかなく、悪性骨腫瘍に承認された遺伝子治療薬は腫瘍溶解性ウイルスに限らず一品目もありません。
Surv.m-CRA-1は、本学大学院医歯学総合研究科遺伝子治療・再生医学分野 小戝健一郎教授が本邦で開発した次世代の腫瘍溶解性ウイルスです。悪性骨腫瘍は100万人に対し4人(日本全体で年間500-800人)の発症頻度の希少がんですが、有効な治療法がなく、遺伝子治療やその他の革新医薬(分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤)も開発が十分には進んでいない、代表的な難治性がんの一つです。鹿児島大学で、悪性骨軟部腫瘍(骨と軟部にできた腫瘍)に対し、Surv.m-CRA-1のFirst-in-Human(被験薬を動物ではなくヒトに対して世界で初めて投与すること)医師主導治験第Ⅰ相を実施・完了し、高い安全性を確認しただけでなく、高い有効性を示唆する結果も得ました。この結果を踏まえ、令和3-5年度AMED革新がん事業(代表 小戝健一郎)にて、悪性骨腫瘍への世界初の腫瘍溶解性ウイルスの承認を目指し、Surv.m-CRA-1の多施設共同(鹿児島大学、久留米大学、国立がん研究センター中央病院)の医師主導治験第Ⅱ相を開始しました。
(写真左から)鹿児島大学病院・整形・運動機能センター・センター長 谷口教授、
同・探索的医療開発センター・副センター長 永野教授、
同・病院長 坂本教授、
同・探索的医療開発センター・センター長 小戝教授、
同・臨床研究管理センター治験管理部門・部門長、薬剤部・部長 武田教授
(※写真撮影時のみ、マスクを外しました。)
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【本研究に関するお問い合わせ】
遺伝子治療・再生医学分野
小戝 健一郎[Researchers]
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