大学院医歯学総合研究科精神機能病学分野の中村雅之准教授、佐野輝教授らの研究グループは、東京大学を中心とした共同研究の中で、てんかんの新たな遺伝子変異とそれに基づく新たな発症機序の解明に貢献しました。

 研究グループは、これまでの研究において、遺伝子連鎖解析によって良性成人型家族性ミオクローヌスてんかん(BAFME)の病因遺伝子変異が存在する候補領域をヒト8番染色体長腕上の特定領域に絞り込んでいました。今回の研究でその変異が、主にはSAMD12遺伝子、その他にはTNRC6A遺伝子、RAPGEF2遺伝子のイントロン領域のTTTCAという繰り返しの異常伸長の挿入がBAFMEの原因であることが解明しました。3つの独立した遺伝子領域においては、タンパク質を作る情報を持たないイントロン領域の異常伸長が病因であり、これらがRNAとして転写された後に神経細胞の核内にRNA fociという凝集体を形成しすることがてんかんの病態に関与していることが示唆されるものででした。今回の発見により、新規治療法の開発や、他のてんかんの原因究明にも大きく貢献することが期待されます。

Expansions of intronic TTTCA and TTTTA repeats in benign adult familial myoclonic epilepsy. Nature Genetics (2018) doi:10.1038/s41588-018-0067-2

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※東京大学プレスリリース資料(http://www.h.u-tokyo.ac.jp/vcms_lf/release_20180306.pdf