鹿児島大学病院発達系歯科センター小児歯科の有安雄一助教が執筆した論文「Three-dimensionalanalysis of lip and chin movements during mastication with artificial nasal obstruction」が、国際学術誌『Archives of Oral Biology』に掲載され、日本小児歯科学会よりデンツプライ賞を受賞しました。
本研究では、鼻閉が咀嚼時の口唇および顎の動きに与える影響をモーションキャプチャシステムを用いて定量的に評価しました。健康な成人を対象に、鼻呼吸が遮断された状態と通常状態でガム咀嚼を行い、口唇・口角・顎の動きを高精度カメラで記録し、動作の安定性や変動性を解析しました。その結果、鼻閉が咀嚼運動の均質化と不安定化を同時に引き起こすこと、特に上唇の動きは著しく制限されることが明らかになりました。これらの知見は、鼻呼吸が咀嚼機能の安定性に重要な役割を果たしていることを示唆しており、口腔機能障害の診断や治療戦略の構築に新たな視点を提供するものです。
本研究は、口腔機能と呼吸機能の相互作用に着目した先進的な取り組みであり、小児期における口腔機能発達や機能不全の予防に資する成果として高く評価されました。今後は、鼻閉を伴う疾患への臨床応用や、口腔リハビリテーションへの展開が期待されます。
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